思い込み戦隊妄想レンジャー
+++06:新しい生活と仲間と・・・・。
あれから何度かキングとの攻防戦を繰り広げた拓也達。
しかしやはり腐っても鍛え上げられた宇宙人。
貧弱地球人では手も足も出ない。
「くっ・・・・。」
「やっと止まった?
じゃぁ、そろそろいいかな?」
そう言いながら隣の部屋へしばらく姿を消したキング。
すぐに出てきたが隣には16,7ほどの女の子が一人。
「始めまして、皆さん。
ロロと申します。」
殺伐とした空気の中に流れる和みの空気。
これが所謂『癒し系』という物であろうと拓也達は実感した。
「で、彼女は一体なんですか?」
キングに最初に問うのは神楽。
皆聞きたい事はまずはそれだったのでキングの言葉を大人しく待つことに。
「ああ、彼女は・・・知人から預かってね。
まぁあれだ、今回のあの怪人達の狙いは彼女も含まれるから彼女の護衛もして欲しい。
ちなみに今のロロちゃんの姿は地球人に合わせて姿を変えている。」
「そう、ですか・・・あ、それじゃあ俺等といっしょに行動しろ・・と?」
拓也の問いにただ頷くだけのキング。
しばらく考えた拓也はまだ結成して半日も経っていないのにリーダーらしい振舞い。
「じゃあ綾香、さん?
あの、女性は貴女だけですし、やはり年頃の女の子なら同姓の方と一緒のほうがいいかと・・・。」
「わかったわリーダー。
それと別に呼び捨てでもいいわよ。」
「は、はぁ・・・・。」
しかし何だか女性の呼び捨ては呼び辛い事この上ない拓也。
徐々に慣れていきます、と控えめな発言でおさえておいた。
「じゃあ彼女は明日から君と一緒に住む事に。
君もご両親に言わなければならないだろうからね。」
「・・・その気遣い、できればさっきの戦闘のときにもほしかったですね。」
ぼそりと呟かれた裕也の言葉はキングは聞こえない振りをした。
だからこそ、キングは自分勝手な行動を惜しみなくできるのだろう。
なんてはた迷惑な話だろうか。
娘をキングに攫われたガロン。ただいまご乱心中。
「キ、キング・・・許さん!!」
「落ち着いてくださいガロン様!」
「そうですよ将軍!それにあいつ等も居ます、今行ってもまた胃薬のお世話になるのがオチですよ!」
怪人とマリーンの言葉に一気に萎むガロン。
冷静に考えれば今行くのは得策で無い。
それにいくつか気になる点がある。
「何故ロロを・・・・ロロに罪は無いはずだ・・・・。」
と言うか元々自分等には何にも罪無いのに、キングのせいで。
ただの宇宙旅行だったのに。
がっくり項垂れたガロン。
「それがキングが突然現れたと思ったらロロちゃんを光に包んでしまいまして・・・・。」
多分、あの時まばゆい光に辺りを包ませたときだろう。
そうとしか考えられない。
「一体、一体何が目的なんだ・・・キングッ・・!」
苦虫を噛み潰したような顔をしてちゃぶ台をガンガン叩くガロン。
薬を飲むために持ってきたコップの水は零れまくっていたがそんな事を気にしている余裕など今は無い。
あまりの上司の乱れ様に心を痛める部下一同。
「ガロン様・・・何があろうとこのマリーン、あなた様についていきます!」
「私たちもロロ様を助けるべく、ご尽力いたします!」
「お・・・お前達・・・・。」
普段から涙脆いガロン。
部下の真髄な言葉一つ一つに胸打たれ、ありがとうと頭を垂れる。
その姿に慌てふためく部下たち。
自然と心が一つになるガロン達であった。
心温まる部下と上司のストーリーが繰り広げられている中、その原因を作ったキングはと言えば。
「ロロちゃん、お父さんは今とても忙しく星へ帰っていってしまったんだ。
でもロロちゃんは旅行がしたいだろうからって言う事で旧友の私に預けていったんだよ。
それと拓也達にはお父さんが誰かとかは内緒だよ、それによって君を狙う輩とか来るかもしれない。
それにそうなってはお父さんにも迷惑がかかるからね。」
「はい!」
いい子だね、と素直なロロを撫でるキング。
嘘八百もいいところだ。
純粋な子供をこうまで騙す汚い大人。
こんな状況目の当たりにしたらきっとガロンは娘の為に特攻するだろう。
「じゃあ、今日はもう寝なさい。」
「はい、おやすみなさいキングさん。」
何も知らない純粋なロロは部屋へと入っていった。
キングはそこから2部屋ほど離れた自室へ篭るとほくそ笑む。
「さぁ、これからが楽しくなるぞぉ・・・。
だいたい最近つまらなかったんだよなぁ、ガロンて昔からからかいがいのある奴だったからなぁ・・・ふふふふ。
顔が少し厳ついのもいいよね。
悪役にはぴったりだよ全く。」
自分の退屈しのぎの為なら星ひとつ危機に陥れるキング。
その為ならば旧友すらも悪者にしてしまう。
とんだ正義の味方である。
何も知らないロロ。
何も知らないガロン達。
何も知らない拓也達。
何も知らない地球人。
人は時には知らないほうが幸せな事がある。
しかしながらまさかキングが全ての黒幕だとは、誰も今は気付かないだろう。
END
短編連載のつもりが、発端を書くのにすっごく長くなってしまった・・・・。
おかしいな。最初は前、中、後編の三編設定だったのに収まらなかったよ?
でも結構気に入った出来です。
これからは短編で最終回も無くポチポチと書いていきたいなーと・・・・。
個人的にブラックこと庵が一番好きです。
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